だらだら感想日記

観たもの遊んだこと 想いの吐き場

『仮面ライダーリバイス』の主に愚痴な感想

 

『令和仮面ライダー3作目』

仮面ライダー生誕50周年記念作品』

シリーズ初の悪魔と契約して変身する1人で2人の仮面ライダー

 

それが仮面ライダーバイスだ。

 

令和ライダー1作目の『ゼロワン』、2作目の『セイバー』は手放しに面白いと言える内容ではなかった。

そのため、昨年夏公開の映画『スーパーヒーロー戦記』での同時上映された時から少し期待していた。というのも脚本の木下半太さんの小説を過去に読んだことがあったからだ。木下さんの代表作である『悪夢のエレベーター』から始まる『悪夢シリーズ』。読んだのが10年以上前で詳しい内容は忘れてしまったのだが、予想外の展開が多くとても面白かったことは覚えている。

そんなこともあって令和ライダー3作目のリバイスには「二度あることは三度ある」ではなく「三度目の正直」な面白さを期待していた。

 

結果「二度あることは三度ある」ということにはならなかった。

しかし「三度目の正直」にもならなかった。

 

何故なら「ゼロワン」とも「セイバー」とも違うそれこそ悪魔が悪さしてるのかと思えるほどあさっての方向な作品に仕上がってしまったからだ――。

 

バイスのストーリー、その問題点

期待膨らむ前半(1話~21話)

ライダーシリーズにおいてバディものと言えば何作かあるが、1人で2人の仮面ライダーはシリーズ初。そんなわけで主人公・五十嵐一輝の変身する仮面ライダーリバイと一輝の相棒で内なる悪魔・バイスが変身する仮面ライダーバイス以外のライダーは序盤はあまり登場しないと思っていた。せっかくのダブルライダーの特異性が失われてしまうからだ。

 

と思ったら5話では一輝の弟・大二に潜む悪魔・カゲロウが変身するエビル、7話ではデッドマンズの対抗組織フェニックスの門田ヒロミがデモンズに変身、10話ではカゲロウから主導権を奪い返した大二がライブに、12話では一輝と大二の妹・さくらまでジャンヌに変身。ライブとエビルはイコールと考えても既に5人もライダーがいる*1こんなに出して大丈夫か!?とはさすがに感じたものだ。

 

しかしこの頃はそういった不安もありながらも面白かったのだ。兄へのコンプレックスを抱いていたから生まれた大二のもう一つの人格とも言えるカゲロウ。家族がテーマの作品で序盤からそういった暗い部分に切り込んでいくのは刺激的であった。また、ヒロミは失態続きで降格され一時はフェニックスを裏切るのでは?なんてミスリードもされていたが、大二(カゲロウ)の暴走を止めるために見事デモンズに変身。特にこのヒロミ/デモンズが大好きだった。失態を重ねながらも正義感を失わない姿は応援したくなるし、デモンズのデザインは純粋にカッコいい、変身ベルトのギミックも凄くリバイス関連で唯一買ってしまったほどだ。

 

ライダー以外も魅力的だった。

親友に裏切られた経験から裏切者を絶対に許さないデッドマンズ幹部・フリオ。そんなフリオとその親友が元の関係に戻ろうとした矢先にフリオの目の前で親友を怪人に捕食させたデッドマンズの裏切者・オルテカ。その外道っぷりに肩を並べられる悪役は過去のライダーシリーズを見ても中々いない。ヒロミにデモンズ変身の代償があることを隠し、最強のライダーを作ることが目的と語るフェニックスの科学者・ジョージ・狩崎がどのように話をかき乱していくか楽しみでもあった。デッドマンズの悪の女王・アギレラはこの頃は派手な活躍はしていなかったが存在感はあり、どのように活躍に花咲かせるかも目が離せなかった*2。他にも、実は1話時点でフェニックス司令官を殺害、成りすましていたカメレオン・デッドマンには衝撃を受けたし、裏でオルテカと通じギフを使って何かを目論む赤石や、何故か主人公たち五十嵐家を監視している牛島家は不気味だった。

 

不気味といえば、一輝の姿が家族写真から消え、それを見たバイスが怪しげに笑ったり、五十嵐3兄妹の父・元太には何故か心臓がなかったりと次々に出てくる不穏な要素にどんな予想外の展開が来るか怖くもあり楽しみでもあった。

 

そんなわけでリバイス前半は多少のブレはありながらもかなり楽しんでいたのだ。不満と言えばせいぜいバイスのお調子者キャラがそんなに好きになれないとか、バイクに全然乗らないうえに移動手段がチャリとか、カメレオン・デッドマンがやけにあっさり倒され、その正体も死ぬ直前に一瞬姿を見せたくらいで「え、誰?」なんて思ったりもしたが些細なことであった。

 

そう、本当に些細に思えるほど、理解に苦しむ展開が待ち受けていたのだから。

 

矛盾と忘却に満ちた後半(22話~46話)

22・23話でバイスが一輝の身体を乗っ取る強化形態・ジャックリバイス登場から少しずつストーリーがおかしくなる。ジャックリバイスへの変身により一輝とバイスの立場が逆転しバイス実体化。「裏切りは悪魔の得意技」と宣言し、遂にバイスが裏切るのかと思いきや、取った行動は一輝の身を案じてのことだった。いや、裏切りは?

 

バイスは結構メタ発言しているので、こんな感じのこと*3を視聴者に向けて言っていればまだ納得できたかもしれない。まあ、この辺は一輝とバイスの絆が深まってたってことで理解はできる。期待は裏切られた気持ちでいっぱいだったが。

 

25話では五十嵐元太の悪魔であり復讐を誓うベイルが元太に憑りつき仮面ライダーベイルに変身。それにより元太の心臓=ベイルとか、元太と五十嵐3兄妹はギフの遺伝子を持ってるとか、いろいろ明らかになるが、一輝とバイスについても明かされる。実は幼い頃に2人は出会っており、バイスに家族を守って欲しいという契約を交わしていたのだ。でもバイスって1話で一輝の母親・幸美を喰おうとしてましたけど。

 

そう、ここから明確に矛盾点が次々と出てくるのだ。

 

この一輝とバイスの契約、代償があることが後に判明する。それはライダーに変身するたびに一輝の家族に関する記憶がランダムに欠落するということ。家族写真から一輝の姿が消えていたのも代償によるものだったのだ。ただこの代償について理解しようにも障害となる要素がある。これが発覚した回で親友との記憶が消えているうえに、敵怪人の能力で記憶が戻っているのだ。そしてこの件についてバイス「契約は変えられないんだ、ごめんな」と申し訳なさそうにするのだ。もう写真から一輝の姿が消えることに怪しげな笑いを浮かべてたバイスはいないのだ。改心したからという解釈も出来なくもないですけど、一輝から指摘されるまで言わなかったからそれも難しいね。

 

ちなみに代償が発覚して一輝は「これが仮面ライダーとしての宿命なんだよな……」と納得。いや、変身に代償あるの一輝とヒロミさん*4だけ*5だから宿命って言われても……。おまけに発覚して次に変身する時、なんのためらいもなく変身しました。どうやら宿命ってことで納得したみたいで定期的に記憶が消えていることに触れはするのだが、本格的に問題にし始めたのは最後の4話だけである。代償が発覚するの、もっと終盤でも良かったんじゃないかなぁ。

 

もちろん一輝とバイス以外の話も進行する。

牛島家が実はウィークエンドという組織のメンバーで、そのリーダーがジョージ・狩崎の父・狩崎真澄ということが発覚したり、大二はカゲロウ消滅という苦渋の選択をしホーリーライブにパワーアップしたり、アギレラは自身の悪魔を倒されウィークエンド入りしたり、フェニックス長官・赤石が黒幕だと発覚したり、ギフ復活したり。

 

そしてギフに服従して平和を得るか、ギフを倒して自由を得るかのフェニックス=ギフ陣営と一輝たちウィークエンドの戦いになっていく。ギフを倒して自由を得るのはいいけどギフ倒したら平和も得られないか?

それ以前にこの戦い、とても感情移入し辛い。

ギフへの服従を選択した人たちは、アララトという隔離施設で生活することになるのだがアララト内部の様子がどうなっているか全くわからないまま戦いが始まるのだ。そういうわけで視聴者はアララトがどんなところかわからないけれど、ギフを倒そうとする主人公たちを見せられる。

とはいえ服従しろと言っているし、囚人服みたいなもの着せられて一人一人狭い部屋に隔離されて生活している。描写はないがそう補完するしかなかった。そして数話ほどしてアララト内部の描写がされるのだが公園みたいなところで家族が「幸せだなぁ」と話しているのだ。自由あるじゃん!運動してる人もいるし。これ一輝たちの行動正しかったの?とはなるが、このシーンが出された直後にギフ様に人間滅ぼせって言われた赤石に破壊されたからうむむやになりました。*6

 

とにかく二つの陣営に分かれての対立が軸になっていくのだが、もう一つ話の軸があった。大二の暴走である。

ギフの強さを目の当たりにした大二は自由はなくとも人々を救えるならとギフ側に付くのだ。それを一輝たちはカゲロウが消滅したことにより善悪のバランスが取れなくなり「大二の正義が暴走している」から目を覚まさせようする。ギフに屈したのであって、それを正義が暴走しているというのは無理矢理な気が……。ギフに屈したからではなく、大二自身が考えてフェニックス(ギフ)側に付くのであれば正義の暴走と言えたかもしれないが。

 

そんな大二の暴走について忘れてはいけないことがある。御子柴朱美の存在である(モブみたいな登場だったのにいつの間にかレギュラーキャラへと昇格していたフェニックスの女医)。

彼女は赤石の秘密を探ろうとしていたが見つかってしまい、ギフの何かを知り絶望(おそらくギフの戦力)、ギフに屈し怪人ギフデモスに変えられてしまう。しかし完全に屈したわけではなく一輝に「ギフを倒すにはギフの力が必要」と告げ(なんでそんなことわかったは不明)、一輝たちは「朱美さんからギフの細胞を手に入れ、ついでに朱美さんを人間に戻そう」と作戦を実行する。だが作戦中、一輝が目を離した隙に赤石によって朱美は抹殺されてしまう。一輝が朱美を殺したと勘違いした大二は激怒。その場は復帰したヒロミの登場で収まったが、大二は朱美が一輝のせいで誤解したまま。大二の説得にはこの誤解を解く必要があるだろう――と視聴者は思っていた。

 

その後、二度と御子柴朱美の名が出ることはなかった。

本当に誰も話題に出さなかった。誤解も解かれることはなかった。

スタッフは契約の代償で忘れてしまったのではないだろうか。そう思わされることがこの後も続く。

 

そんなこんなで大二が戻らず朱美も死んだので、結局ギフの細胞は手術で元太から取り出すことにしてリバイスの強化アイテム『ギファードレックスバイスタンプ』を完成させようとするも、元太が死ぬ危険があるとわかったために一輝がそれを中断してしまう。しかし手術が中断されたために未完成のままギファードレックスバイスタンプは暴走。なんとか一輝とバイスが押さえギファードレックスバイスタンプを2つに分離することで完成した。いや、なんで?

 

一応、直前に「2つに分離できなければ未完成のまま」と言及されたが、それ未完成ではなく完成しているのでは……。そんなよくわからないまま新アイテムで最終形態アルティメットリバイとアルティメットバイスに変身。ジャックリバイスとリバイスで一体化するようになっていたのに特に説明もなくまた分かれる形態で、どういうわけか唐突に磁力パワーで敵を圧倒する姿を見せつけられる。どんなに面白くない作品でも最終形態が登場する回はなんやかんや盛り上がるものだが初めて面白くないと思わされた。それまで倒せなかった強敵ヘルギフテリアンも倒しはしたのだが、次の回ではもう強い戦闘員扱いで再登場していた。そんな奴倒してもカタルシスは得られないのだけれど……。

 

とにかくギフに対抗する力を得たのだが、ギフと戦うのではなく物語は大二の説得へと移っていく。その説得に費やす期間が長い。39・40話では一輝が「兄弟喧嘩だ!」と言って説得するも失敗。41・42話では元太とベイルの決着のついでに「いい男ってのはな、自分を許せる男だぞ」とカゲロウを消した自分自身を許して戻って来いと説得。いや、いつそういう話してましたっけ?大二が戻ってこないの家族が誰も話聞いてくれないからなんじゃとか考えてしまうよ?

しかも、それでも大二は家族の元に戻らないので44話でヒロミがデモンズに変身して説得する。これもうお仕事5番勝負*7ならぬ大二説得3番勝負だろ。

ヒロミ「過去を否定するな!元太さんも変わったんだ。失敗したっていい。またやり直せばいいんだ」

でも命を懸けて戦ってた頃の自分を正義が暴走していたと過去を否定した人に言われても困るだろうし、そもそもそういう話じゃ……と思いきや大二も

「俺だって変わりたいよ!」と叫ぶ。だから、いつからそういう話になったの!?

 

たしかに大二はカゲロウと共存する未来もあるのでは考えながらも、カゲロウにどちらかの消滅が懸かった戦いを挑まれ、躊躇しながらもカゲロウを倒した。もちろんそうせざるを得なかった自分自身に大二は許せなかったかもしれないが、大二がギフ側についたのはギフの強さに屈したからであって、カゲロウ云々は全く関係ないはずなのだ。

 

そして「助けてくれ、カゲロウ」と大二が涙を流すとカゲロウが復活した。

カゲロウ「お前が泣き寝入りするまで黙ってようと思ってな」

    「やっと俺が必要だってことに気づいたか」

大二「お前との戦いをウソにしたくなくて……」

 

は?

 

凄いよ、この番組。過去を否定するなってセリフをキャラに言わせながら番組自体が過去を否定してきた。大二とカゲロウの戦いがウソどころか茶番にされたよ。

 

そうして大二が帰ってきてみんなで力を合わせてギフの封印に成功しましためでたしめでたし。

 

(にはならず、ギフは戻ってきて、何故か通用するはずのアルティメットリバイスの攻撃が通用しないことになってたけど、さくらがパワーアップとかしてるうちに気づいたらギフ倒されました。本当はいろいろ突っ込みたいけどカゲロウの件で疲れました。)

 

最終章には見えない最終章(47~50話)

※時系列としては47話以降の前に劇場版の話がありますが面倒なので触れません。ケイン・コスギがかっこよかったですまる

 

ギフを倒し平和が戻った世界。

しかしギフの細胞は五十嵐一家に残っており、それがまた世界に影響を与える危険性もある。そのため全てのライダーを倒すべく、悪魔の力に頼らない新たなライダー・ジュウガにジョージ・狩崎が変身。次々とライダーたちを倒していく――。

 

これだけ見ると過去のライダーシリーズにない展開ではあった。残された力をどうするか。脅威となりうる力を抹殺しようとする者の登場。

 

しかしそれを空中分解したような話にするのがリバイスである。

 

最終章に入る前に話を戻す。42話の元太とベイルの決着の一件でジョージとその父・真澄は、長らく隔たりがあった親子の関係を修復できたかのように見えた。と思いきや43話で真澄は幼少期のジョージにとんでもないことをしていたことを明かす。

「私は自らの悪魔をジョージの体内に移したのだ」

「この世から消えてもなお、繋がりを持っていたいと」

「今考えたら、狂っているよ」

ジョージも「なんだそれ……!」と言っていたが本当になんだそれだよ。何がどうしたら息子に悪魔を移植しようって考えになるのか全く共感できない。

 

ジョージはそれから真澄の容態が悪化しても向き合わず、結局それから二人は一言も交わさないまま真澄は亡くなってしまった。

 

真澄との対話が叶わなかったジョージの本心は全てのライダーを倒し、父・真澄より自分の発明が優れていることの証明だった。でも元太VSベイルの時に「お前はもうとっくに私を超えているよ」って直接本人に言われているんですけどね。

 

とにかく超えていることを証明するために次々と他のライダーを蹴散らしていくジョージ。一方、度重なる変身でとうとう親である元太と幸美に関する記憶も消えてしまった一輝。次に変身すれば大二とさくらの記憶も消えてしまうかもしれない。そのため戦わずにジョージを説得する方法を探す一輝たち。説得のアイテムを見つけ戦わずに済むかと思いきや一輝はジョージと戦うことを決意、ジョージと真澄が作ったアルティメットリバイスこそが最強であることを証明しようとお節介を焼くことを決める。そして始まるリバイスVSジュウガ。

 

「真澄さんとの思い出をこれ以上汚さないでください!」

「汚したのはあの男のほうだ!私に自分の悪魔を埋め込み、支配しようとしたんだ!」

「支配じゃない、愛だ!離れていてもあなたを見守りたいという願いだ!」

 

これジョージが正論過ぎません?というか愛があっても息子に悪魔を移植するが意味不明すぎて一輝の言い分に全然納得できないんですよね。真澄も狂ってたって自分で言ってるし。

そしてジョージ敗北。真澄がジョージを愛していたことの証明として幼い頃ジョージが描いたイラストを見せられる。真澄はジョージのイラストを元にバイスタンプを開発したのだ。もっと一緒にいたかった、まだ話したいとジョージは泣き叫ぶのだった。

 

うーん、やっぱり真澄のジョージへの悪魔移植の件がノイズ過ぎて話に集中できないよ。ところで現存するライダーシステムを駆逐するって話はどうなったのかって?ジョージの愛の話で終わったし、この後の話でも触れられなかったのでスタッフも含めてみんな忘れたんじゃないですかね。問題を論点ずらして着陸させるのホント良くないよ、この作品。

 

そしてジョージ/ジュウガとの戦いで遂に家族の記憶が全て消えた一輝。しかしバイスとの契約が継続している。家族の記憶が全て消えれば契約が終了するはずにも関わらずだ。その原因は一輝がバイスのことを家族だと認識しているからだった。それに気付いたバイスは一輝にもう一度変身させ、記憶を全て忘れさせるためにわざと悪い悪魔になったフリをして街で大暴れ。一輝の記憶が全て消えれば契約自体が存在しなかったことになり、それにより契約満了となり一輝の記憶が戻るかもしれない。一輝が五十嵐家に戻れるようにしたいバイスの作戦だ。

 

記憶が消えたら契約満了(満了という表現が正しいかも微妙だが)は良しとしても、契約満了になったら支払った代償が戻るのはおかしいでしょう。現実の話になるが普通契約満了したからって支払ったものを返してくれる契約などないだろう。記憶が消えたら契約がなくなるもピンとこない。契約を持ちかけたバイスが記憶を失って契約が白紙になるならまだ意味は分かるのだが。

そもそもこの作品、最終回で契約をテーマを持ってくる割には契約のルールがイマイチわからない。契約内容までわかるキャラが一輝とバイス以外だとギフと赤石のみでその描写もぼんやりしているので、ルールの穴を突いた的な展開をやられても納得しがたい。

 

そして、ついに最終回。

回想であと1回変身すれば記憶が全て消え、契約満了となる。バイスが一輝の記憶を戻すために五十嵐家やジョージたちに事情を説明し協力をお願いするシーンが流れる。バイスの想いを聞いたジョージは「お節介な悪魔だな」と評する。

 

お節介な一輝と一緒に過ごしたバイスが最初で最後のお節介をするという流れ自体はグッとくるものはあるだろう。問題は(私だけかもしれないが)この一年を通して一輝のことをそこまでお節介な人間と感じられなかったのだ。

お節介焼きではないとは言わないが、正直『日本一のお節介』と言われるほどかと聞かれると疑問しかない。お節介キャラとしてのインパクトが残るエピソードが思いつかないのだ。あるにはあるのだが(アギレラ救出、フリオを人間に戻す、アヅマとの決着、ジュウガとの対決)、お節介というよりヒーローとしての使命感によりやっているように見えてしまう。

 

そもそもヒーロー作品の主人公は設定として明言されていないだけでお節介な要素を持つことが多い。例として現在放送中の暴太郎戦隊ドンブラザーズの主人公・桃井タロウは荷物の配達ついでによく人助けをしているし、ウルトラマンデッカーの主人公・アスミカナタも行先が同じだからと客を車で送るというのを初登場時にやっているので印象に残りやすい。お節介なヒーローは元々珍しくないうえに、一輝のお節介はこの二人に比べると印象が薄すぎるのだ。お節介キャラを強調するのであれば、戦いの中でのお節介ももちろんあっていいが、それ以上に日常的なお節介のシーンを毎回挟むか、視聴者の印象に残りやすいお節介のシーンを入れるべきだったと考える。

 

バイスが暴れているのが実は自分の為だったと知る一輝。バイスの覚悟を知り、最後の変身をしバイスと戦う。それは戦いというよりもまるで遊んでいるかのようだった。

 

バイスの「あと1回変身すれば」発言の後、前回で1回、最終回で2回目の変身なので一つの話の中で矛盾が起きている。そういうとこやぞ。

 

2人の戦いは終わり別れの言葉を告げて消えるバイス。そして一輝の記憶は戻るのだが、バイスに関する記憶のみ消えていた。

――数ヵ月後。

皆、それぞれの道を歩んでいく姿が描かれる。一輝もバイスのことは忘れてしまったが、一輝の中にバイスがいることを感じさせながら、平和な日常に戻っていったのだった。

 

正直ここもいろいろ突っ込みたいのだが、一番は唐突に最終回に出てきたカズ(三浦知良)選手に関してだ。え、最終回でなんで突然現実のプロサッカー選手が出てくるかだって?

なーに言ってるんですか。1話の一輝初登場シーンでカズ選手のポスターに向かってお辞儀してるじゃないですか。一輝憧れの選手が最終回に出てくる伏線回収ですよ(プロデューサー陣談)。

うん、たしかに一輝にはそういう設定はあったんだけど、1話でカズ選手とセリフでは言ってないからサッカー興味ない人は「誰?」ってなるし、その一瞬出たシーンの要素を最終回に持ってくるのは設定の活用であって(活用にもなってないが)伏線回収とは言わないだろ。

 

カズ選手は一輝がサッカーをしているところに偶然遭遇し、一輝に励ましの言葉を贈るのだ。

「夢に遅いも早いもないよ」「君の全盛期はこれからだよ」

 

バイスで一輝の夢に関して触れているのは1・30・31話のみである。にも関わらず作品の総括かのように夢の話をし始めるのは唐突である。それに一輝は高校時代にプロサッカー選手を目指していたが、同じサッカー部の親友を引退に追い込むケガをさせてしまい、その責任と重圧で夢を諦めたのだった。それを憧れの人に励ましの言葉をもらったからもう一度夢を目指すという風にするのはあまりに都合が良すぎるのではないだろうか。

 

 

総括

前半のリバイスは本当に面白かった。前半の勢いで最後まで突っ走ってほしいと願っていた。しかし実際はここまで述べてきたように辻褄の合わない展開が多く、突っ込みどころ満載な展開の数々。「その場のノリ」「ライブ感」「エモい展開」それらさえあれば他はどうでもいいとさえ感じられた。これまでにも最初から「面白くない」「つまらない」と感じる作品は何作かあったが、リバイス歴代ワーストではないかと感じさせられた。前半で寄せてた期待がズタズタに裏切られたからこそ余計にそう感じるのだろう。

 

ただ全てが悪かったとは言わない。何度も言うが前半は面白かった。だからもしリバイスのスタッフがまた別の作品を担当することがあれば、最後まで楽しめる作品に作って欲しい気持ちも少しある(特に木下半太さんにはもう一度参加してほしい)。

 

まだまだ言いたいこと、突っ込みたいことはあるのだが(主にさくらアギレラ牛島光関連とか悪魔と契約についてとか)、一旦ここで締めようと思う。気が向いたらそれらに触れよう。

*1:前々作と前作、次回作も12話時点で5人以上いるのでこれが令和ライダースタンダードかもしれない。

*2:咲いたのはニリンソウでした。

*3:この画像が気になった方は魔人探偵脳噛ネウロを読んでください。

*4:デモンズの変身の代償はベイルがベルトに潜んでいたせいなので、それ抜きで考えると一輝だけである。

*5:その後、出てきたライダー含めても2人だけである。

*6:ただし、この戦いに関しては現実に戦争が起きた関係で話を変えざるを得なかったとPが語っているので同情の余地はある。

*7:仮面ライダーゼロワンの不評の一つであるエピソード。1クール使った。